あらすじ
時は元禄15年、泰平の世。父親の仇討ちのため、信州松本から江戸に出てきた青木宗左衛門。実はこの若侍、剣の腕がからきしダメなへっぴり侍だった!貧しいながらも愉快に暮らす長屋仲間のペースにすっかり巻き込まれ、3年の月日が流れたが、仇討ちなんて夢のまた夢...。赤穂浪士の仇討ちともビミョーに絡み合い、事態は思わぬ方向へ。さて、宗左衛門の仇討ちの行方や、いかに?弱い。貧しい。逃げ足速い。そんなへっぴり侍と愛すべき仲間たちの泣き笑いをたっぷりと。痛快仇討ちエンターテイメント小説の誕生だ。
ISBN: 9784048737029ASIN: 4048737023
作品考察・見どころ
本作の核は、死の花道を良しとする武士道精神への、是枝裕和流の鮮やかなる異議申し立てにあります。剣の腕も度胸もない主人公の姿を通して、復讐という大義名分よりも大切な、日々の暮らしの尊さを浮き彫りにします。虚勢を剥ぎ取った先に残る、生身の人間の滑稽さと愛おしさが、読者の胸を熱く揺さぶります。 赤穂浪士の物語を背景に据えながらも、その対極にある長屋の喧騒を瑞々しく描く筆致は見事です。散りゆく桜のような死の美学ではなく、泥臭くとも咲き続ける生の肯定。弱さを認め合い、助け合って生きる人々の姿は、効率や強さが求められる現代社会を生きる私たちに、真の豊かさとは何かを問いかけてやみません。




































































