世界といまを考える 1
あらすじ
ISBN: 9784569763507ASIN: 4569763502
「世界とは何か」「現代とはいかなる時代なのか」―。是枝監督が映像に携わる表現者と対話すると、映画やドラマを入口として、テーマは深く豊かな広がりを見せた。対談シリーズの第1巻となる本書では、スパイク・ジョーンズ、リリー・フランキー、山田太一ら12人の映画監督・俳優・脚本家らとともに、作品、家族、そして東日本大震災後のこれからのことについて語り合う。

現代の日本映画界において、最も深い慈愛と鋭い観察眼を併せ持つ至高のヒューマニスト、それが是枝裕和です。カンヌ国際映画祭の頂点であるパルムドールをはじめ、数々の国際的な栄誉に輝く彼は、今や世界が新作を最も熱望する映画作家の一人となりました。早稲田大学を卒業後、テレビドキュメンタリーの世界でキャリアを切り拓いたその出自は、彼の映像言語に唯一無二のリアリズムをもたらしています。デビュー作から一貫して不在や家族の在り方を問い直し、誰も知らない子供たちの孤独や、血縁を超えた絆の揺らぎを、静謐ながらも力強い筆致で描き出してきました。キャリア統計が示す63作品におよぶ膨大な足跡と、平均評価6.8という極めて高い水準は、ドラマやドキュメンタリー、さらには犯罪というジャンルを越境しながら、常に人間性の深淵に肉薄してきた執念の結実です。近年ではフランスや韓国の才能とも共鳴し、国境を越えた映画製作の新たな地平を切り拓いています。制作集団「分福」を主宰し、次代を担う作り手を育むその真摯な姿勢は、映画という文化の未来を繋ぐ灯火そのものです。社会の裂け目から零れ落ちる小さな声を拾い上げる是枝監督の眼差しは、混迷を極める現代において、私たちに寄り添う一筋の光として輝き続けています。