あらすじ
ISBN: 9784124035827ASIN: 4124035829
日常から突如奇想が展開する「過酸化マンガン水の夢」、死に至る限界まで妻の肉体にうちこむ夫と、誘惑する妻―性の駅楽と恐怖を追求した問題作「鍵」。継母への憧れと夭折した生母への思慕から二人を意識の中で混同させてゆく主人公を描く「夢の浮橋」など、老いや母恋いをテーマにした円熟期の秀作を収載する。
本書は老いとエロスが交錯する谷崎文学の極北です。鍵にみる日記形式の心理戦は、読者を覗き見の悦楽へ誘い、生と死が隣り合わせの真理を突きつけます。官能的な薫りと母性への倒錯した憧憬が織りなす幻想美は正に大谷崎の真骨頂。死の淵で輝く生命の陶酔が、読者の肌を直接撫でるような感覚を呼び覚まします。 映像版が視覚的な倒錯を際立たせる一方、原作には読者の想像力で肉体の美を広げる無上の深みがあります。実写で描けぬ精神の暗部を活字で辿り、映像の彩りと共鳴させることで、重層的な官能の迷宮に浸れるでしょう。両メディアを往還するシナジーこそ、究極の芸術体験となるはずです。

谷崎 潤一郎 は、日本の小説家。明治末期から昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き終生旺盛な執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。ノーベル文学賞候補者。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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