木暮実千代の圧倒的な艶っぽさと、封建的な情念が火花を散らす傑作です。仇討ちという大義名分を背負いながらも、その裏側に潜む人間の生々しい欲望や執着を、計算し尽くされた映像美で描き出しています。静謐な空気感の中に漂う、張り詰めた緊張感と狂気的なまでの情熱が、観る者の視線を釘付けにして離しません。
四代目中村雀右衛門と山村聰が見せる、抑制された中にも激しさを秘めた演技のアンサンブルは圧巻です。様式美を重んじる映像表現が、逃れられない運命に翻弄される人々の孤独を鋭く抉り出しています。単なる時代劇の枠を超え、人間の本質的な業を冷徹かつ美しく提示した、映像表現の極致とも言える一作です。