あらすじ
秘かに奈良の奥山を散策する二人の女性。手をしっかりと握って、どちらともなく微笑みかけている美しい二人は、洋服のよく似合う魅惑的な徳光光子。その眼は特に印象的だ。そして和服の似合うもう一人の女性は、弁護士柿内孝太郎の妻で、チャーミングな小悪魔を思わせる柿内園子だった。この二人は同性愛であった。先日も、園子の寝室で、その美事な裸体を披露した光子は、その美しさに興奮した園子と、激しく抱き合っていた。最初...
作品考察・見どころ
増村保造監督が描く本作は、色彩と構図が織りなす「狂気の美」が最大の魅力です。若尾文子の神々しいまでの魔性と、岸田今日子が放つ脆くも激しい執着が衝突し、観る者を陶酔の淵へと引きずり込みます。四人の男女が絡み合う歪な愛の形を、増村特有のスピード感溢れる演出で結晶化させ、観客の倫理観を鮮やかに揺さぶる情熱的な傑作に仕上がっています。
谷崎潤一郎の原作が持つ耽美な世界を、増村は肉体的なエロスと鮮烈な映像へと昇華させました。文字では表現し尽くせない「視線の暴力性」や、破滅へと向かう悦楽の表情は、映像メディアだからこそ到達し得た極致です。単なる愛憎劇を超え、自己を滅ぼしてまで美に殉じる人間の業を、あまりに美しく残酷に証明してみせています。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。