あらすじ
ISBN: 9784124035841ASIN: 4124035845
「不能ニナツテモ或ル種ノ性生活ハアルノダ―」。七十七歳の卯木は嫁の颯子の若さと驕慢さにあこがれ、変形的間接的方法で楽しもうとする。性に執着する老人を戯画的に描き出した傑作長篇「瘋癲老人日記」、軽妙な語り口でお手伝いさんたちの活躍を描いた「台所太平記」、遺稿集となった「雪後庵夜話」など、最晩年の作品を収めた。
谷崎潤一郎が晩年に到達した境地は、老いという残酷な現実を、執念深いエロスと笑いへ昇華させる凄絶な美学にあります。肉体の衰えを逆手に取った倒錯的な情熱は、醜悪さを突き抜けて一種の聖性すら帯びています。文字が綴る粘着質な心理描写は、読者の五感を直接揺さぶり、禁忌を快楽へと変貌させる文豪の底知れぬ魔力を突きつけます。 映像化作品では耽美な世界が官能的に視覚化されていますが、活字には映像が踏み込めない内面の深淵が刻まれています。映像の美と、原作が放つ生々しい業の深さを往復することで、読者は谷崎が夢見た究極の愛欲の形を、自身の肌で体感することになるでしょう。

谷崎 潤一郎 は、日本の小説家。明治末期から昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き終生旺盛な執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。日本芸術院会員、文化功労者、文化勲章受章者。ノーベル文学賞候補者。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
映像化情報を読み込めませんでした(著者の権利情報など)。