あらすじ
ISBN: 9784198625719ASIN: 4198625719
これが映画の設計図。宮崎駿監督による絵コンテ全512枚をオールカラーで収録。
宮崎駿が描くこの絵コンテ集は、単なる制作資料ではなく、生命の躍動を紙上に封じ込めた一級の芸術書です。水彩の奔流は完成された映画版よりも生々しく、海という巨大な意思が少年の純粋さと衝突する瞬間の熱量を伝えてくれます。文字で添えられた演出意図からは、監督の思考の深淵と、児童文学としての崇高な精神性を読み解くことができます。 映像版が完璧な調和を奏でるオーケストラなら、本書はその魂の震えが直接刻まれた楽譜です。静止画だからこそ立ち上がる一瞬の表情や、映像では流れてしまう微細な機微が、読者の想像力を激しく刺激します。完成作の裏側に潜む「描く執念」を体感することで、物語の核心にある原始的な生命力の輝きが、より鮮烈に胸を打つはずです。

アニメーションという枠組みを超え、現代の神話を作り続ける至高の語り部、それが宮崎駿です。東映動画での下積み時代、「ガリバーの宇宙旅行」で自ら提案したラストシーンが採用された瞬間から、彼の伝説は静かに始まりました。「ルパン三世 カリオストロの城」で鮮烈な長編監督デビューを飾り、続く「風の谷のナウシカ」の成功を機に盟友・高畑勲らとスタジオジブリを設立。それ以来、彼は日本映画界の興行記録を次々と塗り替え、ついには「千と千尋の神隠し」で米アカデミー賞を受賞するなど、ウォルト・ディズニーらと比肩する世界的巨匠としての地位を不動のものにしました。 宮崎の描く世界は、常に自然と技術の葛藤、そして容易には到達できない平和への祈りに満ちています。彼の物語を牽引するのは、ステレオタイプを排した強靭な意志を持つ少女たちであり、絶対的な悪を置かずに敵対者にも慈悲深い葛藤を持たせる重層的な人間描写は、観る者の倫理観を深く揺さぶります。FindKeyの統計によれば、計94作品に及ぶ膨大なキャリアを通じて平均評価は星7.2という驚異的な安定感を誇り、アドベンチャーやファミリーというジャンルを芸術の域へと昇華させました。緻密な手書きアニメーションへの執念と、資本主義への批判的眼差し。その相反する情熱が結実した一本一本の映画は、時代を超えて世界中の人々の心に深く根を張り続けています。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。