水中の微細な世界を圧倒的な生命力で描く本作は、アニメーションの本質である「動かす喜び」が詰まった珠玉の一作です。水の粘り気や表面張力、空気の泡が持つ弾力。言葉を超えた緻密な映像表現によって、小さな生命が抱く高揚感や緊張感が見事に可視化されており、観る者はいつの間にか水面の境界を忘れ、ミクロの世界の住人として深く没入させられます。
矢野顕子の唯一無二の歌声が、映像に軽妙なリズムと有機的な温もりを吹き込んでいる点も白眉です。異種への憧れや純粋な情愛といった理屈を超えた感情が、光の揺らぎと共に胸に迫ります。自然界の片隅にある神秘を慈しむ眼差しが、観る者の心を強烈に揺さぶる、生命の賛歌といえる傑作です。