いばらの森のその奥の水車小屋に暮らす、バーバヤーガに召し使いにされた「タマゴ姫」は水車小屋に閉じ込められ、重労働に追われるつらい毎日でした。 ある夜、バーバヤーガの言いつけでこねていたパン種が、突然生命を持ち、動き出します。 その「パン種」とともに、恐ろしいバーバヤーガから逃げ出すタマゴ姫。二人のこの先はどうなるのでしょう。
この作品の本質は、生命が宿らないはずのパン生地とタマゴが、アニメーションという魔法によって躍動し始める根源的な喜びにあります。台詞を一切排した演出が、観客の視覚と聴覚を極限まで研ぎ澄ませ、蠢く生地の柔らかな質感や、命が吹き込まれた瞬間の震えるようなエネルギーをダイレクトに脳に刻み込みます。それは、映像表現が持つ原始的な力強さそのものです。 ヴィヴァルディの旋律を大胆に再構築した久石譲の音楽が、逃走劇の緊張感と祝祭的な高揚感を見事に調和させています。緻密に描き込まれた背景美術と、野性的でどこかユーモラスなキャラクターの動きが織りなす万物への生命賛歌は、短編という枠を超えた圧倒的な密度の宇宙を提示しており、観る者の想像力を心地よく解き放ってくれるでしょう。
監督: 宮崎駿
脚本: 宮崎駿
音楽: 久石譲
制作: 鈴木敏夫
撮影監督: 奥井敦
制作会社: Studio Ghibli