ハセベバクシンオーが描く本作の本質は、欲望に群がる悪党たちの剥き出しの生存本能にあります。強奪劇の枠を超え、裏社会の猛者たちが織りなす「悪の博覧会」としての重厚な筆致が圧巻です。容赦ないバイオレンスと背信のドラマは、読者のアドレナリンを沸騰させる文学的凄みを放っています。
映像化の原案でもある本作は、動的カタルシスに加え、小説特有の心理描写で悪の業を深掘りしています。映画版の壮絶なアクションを補完する、活字の冷徹な狂気。両メディアを横断することで、金という魔物に魅入られた人間たちの姿がより鮮烈に浮き彫りとなるのです。