あらすじ
極秘裏に作られた危険な生物兵器“K−55”が医科学研究所から盗まれた。紛失に気付いた主任研究員の栗林は、 所長の東郷のもとに脅迫メールとK−55が埋められた場所を示すテディベアの写真が届いたと知らされる。だが犯人らしき差出人の元研究員・葛原は、メールを出したすぐ後、事故で死亡していた。栗林は東郷の依頼で写真の場所が野沢温泉スキー場だと突き止め、息子の秀人を連れてK−55捜索に向かう。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、広大な白銀の世界を舞台に繰り広げられる「緊迫感と脱力感の絶妙なマリアージュ」にあります。主演の阿部寛が見せる、エリート科学者でありながらどこか抜けた親しみやすさが、作品全体に心地よいリズムを与えています。大倉忠義や大島優子による疾走感あふれるスキーアクションは、映像ならではのダイナミズムを放ち、観る者を一気に銀世界の只中へと引き込みます。
東野圭吾による原作の緻密なサスペンスを、吉田照幸監督が軽妙なエンターテインメントへと昇華させました。活字では想像に留まる雪山の速度感を、臨場感溢れるカメラワークで「体感」させる点は映像化最大の成功と言えるでしょう。不器用な大人たちが奔走する姿を通じて、失敗を肯定し一歩踏み出す勇気を描く温かなメッセージが、冬の寒さを溶かすように深く心に響きます。
映画化された原作や関連書籍を読んで、映像との違いや独自の世界観を楽しみましょう。