柴田よしきが放つ本作は、日常の亀裂から溢れ出す人間の業と、記憶の迷宮を鮮烈に描き出した傑作です。「こころの準備を」という不穏な一文から始まる物語は、単なる謎解きを超え、読者の精神を激しく揺さぶります。淡い色彩を思わせるタイトルとは裏腹に、行間から立ち上がるのは、封印された感情が腐蝕し、現代を侵食していく生々しい恐怖と美しさです。
緻密な心理描写こそが著者の真骨頂であり、傷を抱えた登場人物たちが真実と向き合う瞬間のカタルシスは圧巻です。過去の傷跡を象徴的な「色」で隠そうとする危うさと、それでも露呈していく本質。魂を削り取るような筆致が、あなたの倫理観を激しく揺さぶる戦慄の一冊です。