あらすじ
エレベーターのRボタンを押し惑う飛降り自殺志願者。混み合うデパートの非常ベルを見つめる主婦。彼らの目前に、突然、“指”が現われた、まるでためらう気持ちにふんぎりをつけさせるかのように。そして、指はボタンを押す―。東京各地に指が出現する事件が続発。幻なのかトリックなのか?やがて指は大量殺人を目論みだした。不条理な恐怖があなたを襲う。
ISBN: 9784396327002ASIN: 4396327005
作品考察・見どころ
柴田よしきが描くのは、日常の裂け目に潜む心理の歪みです。本作の真髄は、人間が誰しも抱える理性と衝動の境界線を、謎の指という異形を通して抉り出す点にあります。自らの意志か、それとも抗えない運命か。背中を押される瞬間の危うい心理描写は、読者の倫理観を激しく揺さぶり、読み進めるほどに深淵へと引きずり込みます。 都会の喧騒を舞台に、静謐かつ冷徹な筆致で集団心理の狂気を描き出す手腕は圧巻です。不条理な恐怖が日常を侵食する過程は、現代社会の脆さを鋭く告発しているかのようです。ページをめくるたび、自身の背後に誰かの指が忍び寄るような戦慄を覚えるはず。心のボタンを代わりに押すのは誰なのか。その衝撃をぜひ目撃してください。