あらすじ
東日本連合会春日組大幹部の韮崎誠一が殺された。容疑をかけられたのは美しい男妾あがりの企業舎弟......それが10年ぶりに警視庁捜査一課・麻生龍太郎の前に現れた山内練の姿だった。あの気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。殺人事件を追う麻生は、幾つもの過去に追いつめられ、暗い闇へと堕ちていく。ベストセラー「RIKO」シリーズから生まれた究極の魂の物語! 上巻に本書サイド・ストーリー「歩道」を書籍初収録。
ISBN: 9784043428083ASIN: 4043428081
作品考察・見どころ
本作の真髄は、あまりに美しく凄絶な「魂の変貌」にあります。かつての知的な面影を消し、退廃的な変容を遂げた山内練の姿は、過酷な運命の中で己を焼き尽くそうとする殉教者のような輝きを放っています。柴田よしき氏の筆致は、犯罪小説の枠を超えた峻烈な叙情性を宿し、読者を底知れぬ闇へと引きずり込みます。 追う者と追われる者の交錯は、倫理では掬いきれない狂おしい情愛と孤独を浮き彫りにします。暴力が渦巻く闇の底で、なお「聖なるもの」を希求する人間の業が、読む者の魂を激しく揺さぶるのです。過去という名の呪縛に追い詰められていく男たちの視線を通し、深淵を覗き込むような耽美で破滅的な読書体験がここにあります。