柴田よしき
新宿二丁目の片隅に佇む無認可保育園の園長にして、ハイリスクな依頼も拒まない探偵が副業のハナちゃんこと、花咲慎一郎。元締めから回されてきたストーカー被害の依頼人は一見まともに見えたのだが...。園児たちの笑顔のため、優しすぎる一匹狼が新宿を駆ける。ストーリーテラーが紡ぐ人気シリーズ第3弾。
柴田よしきが描く真髄は、新宿二丁目の「毒」と保育園の「浄土」の鮮烈な対比にあります。主人公・花咲慎一郎の優しさは、単なる善意ではなく、過酷な現実を生き抜くための盾です。園児の笑顔を守るため、汚れ仕事も辞さない一匹狼の姿は、現代社会の歪みと救いを同時に浮き彫りにしています。 著者の筆致は、一見まともな依頼人の裏に潜む業を容赦なく暴き出します。主観の食い違いの向こうにある孤独や渇望を捉える描写は、ハードボイルドの硬質さと震えるような詩情を同居させています。新宿の夜空に祈りたくなるような、切なくも温かい人間讃歌に魂が揺さぶられる一冊です。
柴田 よしき は、日本の小説家・推理作家。『RIKO - 女神の永遠』で第15回横溝正史賞を受賞。