千のナイフ、千の目(まなざし)
あらすじ
ISBN: 9784480430199ASIN: 4480430199
本書は、自伝的エッセイと自身の演劇に対する姿勢を書きつづった短編とから成る。タイトルは「客席に千人の青年がいるとしたら、彼らは千のナイフを持っているのだ」という本文から取られている。七十七歳になった今でもその言葉の呪縛から逃れられないと語る蜷川の、若き日の決意と情熱がほとばしりでるエッセイ集。本音を語る魅力あるエピソードは、時を経ても古びない。
本書は、稀代の演出家・蜷川幸雄が抱き続けた「観客との対峙」という名の戦いの記録です。客席を単なる鑑賞者の集まりではなく、自分を刺し殺しに来る千のナイフを抱いた批評集団と捉える激烈な覚悟は、表現に携わる者のみならず、真剣に生を営むすべての読者の魂を激しく揺さぶります。老境に至ってもなお消えぬ青々とした闘争心こそ、本作の核心と言えます。 言葉の一つひとつから、蜷川氏の息遣いと血の通った哲学が溢れ出しています。若き日の決意を生涯かけて研ぎ澄まし続けた姿は、安易な共感を拒み、時代に阿ねることのない表現者の誇りそのものです。今なお色褪せない情熱の源泉に触れることで、私たちは自分自身の内側にある「ナイフ」を研ぎ直す勇気を与えられるに違いありません。
