松本俊夫監督が放ったこの鮮烈な傑作は、六〇年代末の新宿に渦巻くアンダーグラウンドの熱狂を、過激な映像魔術で切り取っています。ドキュメンタリー的手法とアヴァンギャルドな虚構が混沌と混ざり合う演出は、既存の映画文法を軽やかに解体し、観る者の視覚体験を根本から揺さぶる破壊的なエネルギーに満ちています。
ピーターが放つ、性別を超越した圧倒的な美貌と孤独は、今なお時代を塗り替えるほどの衝撃を保っています。ギリシャ悲劇の構造を借りつつ、現代的なアイデンティティの葛藤を投影した本作は、単なる異色作の枠を超え、魂の解放と残酷な宿命を描き切った映像美学の到達点と言えるでしょう。