あらすじ
ISBN: 9784394301660ASIN: 4394301661
浅草歌劇全盛期に「レビューの女王」との名声を得ていた踊り子・水木蘭子。彼女は彫刻家・里見雲山の衣頼により大理石像のモデルとなり、その肉体美を再現した作品は、展示会を大いに賑わせた。その会場に、彫刻を撫でまわす謎の盲人が...彼との出会いから、蘭子の人生が狂い始める。「触覚芸術論」という持論を持つ「盲獣」と、美女蘭子の痴態の限りを尽くした日々とその末路はいかに?触覚だけの世界の愉楽とはどのようなものなのか、そして殺戮を繰り返す盲獣の目的とは?
本作は、視覚を絶った「触覚」の極致を追求する、江戸川乱歩のエログロ・ナンセンスの頂点です。主人公が抱く触覚芸術への執着は単なる倒錯を超え、肉体の質感のみで構成される暗黒の桃源郷へと読者を誘います。文字が紡ぐ闇の官能は、読者の想像力を極限まで増幅させる魔力に満ちています。 実写映画版では、乱歩が描いた「見えない悦楽」が、前衛的な造形と色彩を伴う「見せる狂気」へと昇華されました。活字ならではの閉塞的な妄想と、映像が突きつける肉体的インパクト。この両者を味わうことで、人間の根源的な欲望が浮き彫りになる唯一無二のシナジーを体感できるでしょう。

江戸川 乱歩 は、日本の推理作家、怪奇・恐怖小説家、アンソロジスト。日本推理作家協会初代理事長。位階は正五位。勲等は勲三等。ペンネームの由来は、小説家のエドガー・アラン・ポーのもじり。本名は平井 太郎。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。