あらすじ
ある時は冷静な判断力と患者にあたたかく寄り添う、心優しき産婦人科医。またある時は、情熱的で謎多き天才ピアニスト─。二つの顔を持つミステリアスな鴻鳥(こうのとり)サクラ役に綾野剛が挑む!
作品考察・見どころ
田中登監督による本作は、単なる官能映画を超え、人間の底知れぬ覗き見趣味と孤独を耽美的な映像美で描き出した傑作です。石橋蓮司が見せる狂気的な執着は、観客の背徳感を激しく揺さぶります。暗闇に差し込む光と日常の対比が、異常なまでの緊密さと閉塞感をもって表現されています。
映像ならではの色彩と構図は、観る者自身が屋根裏に潜んでいるかのような没入感を生みます。実写の生々しい肉体性が、宮下順子の匂い立つような色香と相まって、死とエロスが混在する濃密な世界を確立しています。理性を剥ぎ取り、人間の本性を暴き出す演出の数々は、観客を陶酔へと誘うでしょう。