あらすじ
ISBN: 9784087454512ASIN: 4087454517
日本を代表する名探偵の一人、明智小五郎がはじめて登場した「D坂の殺人事件」。退廃的な空気が漂う大正9年9月初旬、“私”はD坂にある白梅軒という喫茶点で明智小五郎と知り合った。偶然、向かいの古本屋で発生した殺人事件。二人は第一発見者となる。犯人は、明智小五郎なのか―「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」も収録。事件発生順に並べた画期的なコレクション、全12巻刊行開始!
江戸川乱歩が生み出した明智小五郎という存在は、単なる謎解きの機械ではありません。初期の彼は、ぼさぼさの髪に木綿の着物を纏い、世俗から浮き上がった高等遊民としての危うい色気を放っています。本作に漂う大正末期の退廃的な空気感と、緻密な論理的思考が狂気と紙一重で交差する様は、現代の読者をも底知れぬ美の深淵へと誘います。 特に、人間の内面に潜む覗き見の欲望や完全犯罪への渇望を鋭く抉り出した心理描写は白眉です。乱歩は探偵小説という枠組みを借りて、人間が隠し持つ本能の暗部を鮮やかに暴き出しました。論理の明晰さと怪奇的な幻想美が同居するこの唯一無二の迷宮は、一度足を踏み入れれば二度と逃れられない抗いがたい魅力を放っています。

江戸川 乱歩 は、日本の推理作家、怪奇・恐怖小説家、アンソロジスト。日本推理作家協会初代理事長。位階は正五位。勲等は勲三等。ペンネームの由来は、小説家のエドガー・アラン・ポーのもじり。本名は平井 太郎。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。
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