その家が「空き家問題」になる前に読む本
あらすじ
ISBN: 9784434344534ASIN: 4434344536
一級建築士の教える「空き家になろうとしている」家という資産の有効な活用法

昭和から平成にかけて、日本の銀幕に「誠実」という名の血を通わせ続けた稀有な名優、それが小林桂樹です。日本大学を中退し、日活で産声を上げた彼のキャリアは、実に65年という歳月の中で250本を超える膨大な出演作に彩られています。とりわけ東宝の「社長シリーズ」で見せた軽妙かつ真面目な秘書役やサラリーマン像は、戦後日本の復興を支えた庶民の理想像であり、象徴でもありました。しかし、彼の真価は単なる喜劇俳優の枠に留まりません。黒澤明、小津安二郎、成瀬巳喜男といった巨匠たちの過酷な要求に応え、ある時は『裸の大将』で清廉な魂を、またある時は社会派作品で人間の深淵を演じ分け、毎日映画コンクール主演男優賞を幾度も手にするなど、その圧倒的な演技力は日本映画の格を一段引き上げました。キャリア統計を見れば、記録に残る190作品において平均評価星7.1という驚異的な安定感を誇り、ドラマ、コメディ、アクションの全方位で高いクオリティを維持し続けたことが分かります。小林が体現したのは、組織の中で苦悩しながらも誇りを捨てない日本人の矜持であり、彼の存在なくして戦後映画史の黄金期は語れません。2010年に86歳で世を去るまで、常に現場の最前線で放ち続けた知的な熱量と端正な佇まいは、今なお色褪せることなく、映画を愛する者たちの心に静かな感動と確かな勇気を灯し続けています。