小林桂樹と三木のり平という喜劇界の至宝が見せる、神業のごときアンサンブルが本作の白眉です。スリという陰の生業を、研ぎ澄まされた職人芸として描き出す演出は、犯罪映画の緊張感とコメディの軽妙さを極めて高い次元で融合させています。指先の動き一つで観客の視線を奪い去る、役者陣の圧倒的な身体表現には感嘆するほかありません。
高度経済成長期の熱気の中で、組織化されていく社会への皮肉を「スリ集団」という形で表現した視座も鋭く、単なる娯楽作に留まらない深みがあります。一瞬の隙を突くプロたちの美学と、滑稽でありながらもどこか哀愁漂う人間模様。映像ならではのテンポ感で綴られる本作は、職人気質の矜持が放つ、鈍い光を放つ傑作と言えるでしょう。