あらすじ
ISBN: 9784394106012ASIN: 439410601X
烏山城下、秋草茶屋『ひのき屋』の若主人千太郎・おすが兄妹の運命の歯車は、国家老・佐伯左衛門の末子彦次郎がおすがに恋慕、酒乱狼藉の末に千太郎に斬殺された日から狂い始める。千太郎は追及を逃れて十蔵芝居一座に身を投じ、おすがは兄を救うため城主大久保佐渡守の姫君・琴姫に頼る。藩財政壟断を策する左衛門は琴姫の反対を押し切り、三斗蒔山隠れ窯で焼いた浮世絵大皿で禁制の異国交易を続けようとする。公儀を恐れた小田原・大久保本家も秘かに探索の手を伸ばし、両派の暗闘は水面下で熾烈さを増す。『ひのき屋』は灰燼に帰し、琴姫の妖しい寵愛に身を焦がすおすがを襲う五月の闇の無惨!千太郎の夢寐に現れたからす蛇の不思議に導かれ、秘曲『秋風』の調べに乗って舞台は江戸へと移っていく。
川口 松太郎 は、日本の小説家、劇作家。本名を松田松一とする資料もある。東京市浅草区生まれ。芸道物、明治物、時代物、現代風俗物と広く執筆。巧みな筋立てと独自の話術で庶民情緒を描いた大衆小説で多くの読者を獲得した。また、松田昌一の名で映画・演劇脚本も手がけ、大映専務などを務めた。特に、新生新派の主事として自作小説の脚色や演出を担当、昭和期の新派に欠かせない人気作家となり、作品の多くは新派の代表的演目となった。第1回直木賞受賞者で、映画化され大流行した『愛染かつら』の作者としても知られる。芸術院会員。文化功労者。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。