大映の黄金期を象徴する本作の真骨頂は、長谷川一夫、市川雷蔵、勝新太郎という三大スターの競演が放つ圧倒的なオーラにあります。美麗な色彩で彩られた画面には、当時の映画界が持てる最高の贅を尽くした美術と衣装が息づいており、単なる特撮映画の枠を超えたスペクタクル巨編としての格調が漂っています。
特筆すべきは、鬼として恐れられる酒天童子の孤独と討伐側の葛藤を対比させた重厚な人間ドラマです。伝説という器を借りて「真の怪物とは何か」を問いかける演出は、観客の倫理観を激しく揺さぶります。スターの演技力が火花を散らす中、人間の業と高潔さが交錯する様は、正に映像芸術の極致と言えるでしょう。