“舞妓という名の高価なおもちゃ、だが彼女の若い体内には十代の反逆の血潮が脈打つ”
祇園ではちょっと名の知れた芸妓・美代春の許に、母を亡くしたばかりの少女・栄子が舞妓志願にやってきた。栄子の熱意に負けた美代春は、彼女を引き受けることに。
溝口健二監督が戦後の祇園を舞台に、伝統の裏に潜む非情な封建制度を鋭く描いた傑作です。宮川一夫の流麗なカメラが、芸妓の凛とした佇まいと情念を冷徹かつ叙情的に映し出します。特に木暮実千代の貫禄と、若き若尾文子が放つ無垢な反抗心の火花は、見る者の心を激しく揺さぶります。 神髄は、古い慣習に抗い自律しようともがく個人の尊厳を問う姿勢にあります。男の欲望が渦巻く中、美しさが残酷な犠牲の上に成り立つ真実を突きつける演出は圧巻です。普遍的な切実さを放つ、凄絶なまでに美しい人間ドラマをぜひ目撃してください。
監督: 溝口健二
脚本: 川口松太郎 / 依田義賢 / Matsutarô Kawaguchi
音楽: 斎藤一郎
制作: Hisakazu Tsuji
撮影監督: 宮川一夫
制作会社: Daiei Film