早見和真
家族の気持ちがバラバラな若菜家。その仲を取り持ってきた母の玲子の脳にガンが見つかった。突然の出来事に狼狽しつつも玲子のために動き出す父と息子たち。だがそんなとき、父が借金まみれだったことや、息子たちが抱いてきた家族への不満が露になる…。近くにいながら最悪の事態でも救ってくれない人って何?家族の存在意義を問う傑作長編。
早見和真が描くのは、綺麗事ではない家族の真実です。母の病を機に、隠蔽されてきた借金や不信感が次々と暴かれる展開は、読む者の胸を容赦なく抉ります。しかし、その泥臭い現実を凝視する著者の筆致こそが、本作を単なる闘病記ではない、血の通った文学へと昇華させています。 バラバラな個人が家族という枠組みで葛藤し、不器用に向き合い直す過程には、現代社会が忘れた切実な祈りが込められています。絶望の先に微かな光を見出す冷徹かつ温かな眼差し。読後は、自身の家族の在り方を問い直さずにはいられないはずです。
早見 和真 は、日本の小説家。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。