あらすじ
ISBN: 9784087715521ASIN: 4087715523
昼下がりの保健室。そこは教室に居場所のないサエとナツのささやかな楽園だった。けれどサエが突然“自分のクラスに戻る”と言い出してー(『ねぇ,卵の殻が付いている』より)。“お父さん、お母さん、先立つ不孝をお許しください”。早朝の教室で毎日手帳に書いていた架空の遺書。その手帳を偶然にも人気者の同級生が拾ってしまうー(『死にたいノート』より)。揺れ動く6人の中学生の心を綴る6つのストーリー。
相沢沙呼は、傷つきやすい魂の揺らぎを掬い取る魔術師です。本作は教室という閉鎖空間で「普通」になれない少女たちの絶望と、そこから芽吹く微かな希望を鮮烈に描きます。彼女たちの内面に渦巻く疎外感は鋭い針のように読者の胸を刺し、かつて誰もが抱えたはずの青春の痛みを剥き出しにします。 言葉にできない生きづらさを徹底して言語化した筆致は、残酷なほどに美麗です。保健室や遺書代わりの手帳は、彼女たちが尊厳を守るための唯一の武器。泥濘のような孤独の中で一歩を踏み出す瞬間の煌めきに触れたとき、あなたは魂が浄化されるような深い救いを感じるに違いありません。