あらすじ
「わたしは欠陥品なのかもしれない。自分が大人になれるって、無条件で思い込めるみんなが、羨ましい」(本文より)
中学校の「図書室」を舞台に、クラスへの違和感や未来の不安、同級生に対する劣等感など、思春期の心模様を繊細に描き出す全六編の連作短編集。
【著者略歴】
相沢沙呼(あいざわ・さこ)
1983年、埼玉県生まれ。09年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。11年3月「原始人ランナウェイ」が第64回日本推理作家協会賞(短編部門)候補作となる。18年『マツリカ・マトリョシカ』が第18回本格ミステリ大賞の候補に。19年『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が国内ミステリランキングを席巻し、大ヒット。その他の著作に『雨の降る日は学校に行かない』『小説の神様』『invert 城塚翡翠倒叙集』『invert II 覗き窓の死角』など。
ISBN: 9784087445374ASIN: 4087445372
作品考察・見どころ
相沢沙呼は、若者の内面に潜む名付けようのない痛みを救い上げる稀代の物語作家です。本作は、教室という閉塞感の中で息苦しさを抱える魂たちが、図書室の背表紙に救いを見出す過程を鮮烈に描いています。自分が欠陥品ではないかと怯える切実な独白は読者の胸を突き刺し、かつて誰もが抱いた孤独を静かに、そして力強く肯定してくれます。 物語の中で本を読む行為は、自己の輪郭を再構築する救済として機能しています。文字を介して出会う自分自身、そして世界との新たな距離感。繊細な筆致で綴られる言葉の数々は、暗闇で灯る一筋の光のようです。これは、言葉によって世界を捉え直そうとする全ての人へ贈られた、静謐かつ情熱的な救済の書と言えるでしょう。


