青を抱く
あらすじ
ISBN: 9784041136768ASIN: 4041136768
何も残らない。でも覚えてる。ひとりになっても覚えてる。
一穂ミチが描く世界は、常に不在のなかに鮮烈な存在を立ち上がらせます。本作は、純化された孤独と消え去ったはずの記憶を、透明度の高い文体で結晶化させた傑作です。形あるものを失ってもなお、魂の深淵に刻み込まれた「青」を抱きしめて生きる人々の肖像は、あまりに気高く、読む者の心を深く震わせます。 喪失を単なる悲劇で終わらせない文学的な強度が、本作の真骨頂です。何も残らない空虚のなかに、覚えているという意思が灯る瞬間、絶望は静謐な希望へと昇華されます。理屈を超えた感情の機微を掬い上げる著者の筆致は、独りで歩む勇気を与えてくれるでしょう。読後、あなたの視界もまた清澄な青に染まるはずです。