あらすじ
「デラシネ」という言葉は「故郷を捨てた人々」として否定的に語られてきた。
だが、社会に根差していた当たり前が日々変わる時代に生きる私たちに必要なのは、
自らを「デラシネ」--根なし草として社会に漂流する存在であるーーと自覚することではないか。
『大河の一滴』『下山の思想』など、大きな時代の変化のなかでどう生きるかを考え続けてきた作家が、
自らの朝鮮半島からの引き揚げ体験を引きながら、絶対的なものが融解する時代を生き抜くヒントを提示する。
五木流生き方の原点にして集大成。
<目次>
第一章 難民の原体験
第二章 「新国家主義」と越境者
第三章 デラシネの思想
第四章 異端の意義
第五章 揺れてこそ人間
第六章 動的な人間観
第七章 直観を信じる
第八章 「病む力」を育む
第九章 時には涙を流す
第十章 愁いの効用
ISBN: 9784041021910ASIN: 404102191X
作品考察・見どころ
五木寛之が提唱する「デラシネ」の概念は、喪失の痛みを超えた先にある究極の精神的自由を象徴しています。戦後の引き揚げ体験という過酷な原点を血肉とした著者の言葉は、確固たる居場所を失い、漂流することを余儀なくされる現代人の孤独を、気高くしなやかな「生の指針」へと昇華させています。 本書の白眉は、揺らぎや愁いを排除すべき弱さではなく、変化し続ける世界を生き抜くための「動的な力」として再定義した点にあります。絶対的な正義が融解する現代において、あえて根を持たずにたゆたう勇気を説く本作は、混迷を極める時代を生きる私たちの魂を震わせる、希望と覚悟の書と言えるでしょう。


















