五木寛之という作家が持つ最大の武器は、他者の魂に深くコミットしながら、その本質を見抜く凄まじい感応力にあります。本書は、言葉の刃を交わすことで生まれる閃光や、時代の地層に眠る真実を掘り起こす、まさに知のジャズ・セッションと呼ぶべき一冊です。
映画監督や俳優たちの肉声を通じて浮かび上がるのは、表現者たちの孤独と情熱、そして人間という不条理な存在への深い慈しみです。著者の洗練された問いかけが相手の真髄を暴き出す様は圧巻で、ページを捲るたびに、読者は昭和から現代へと続く激動の精神史を追体験する興奮に包まれることでしょう。