アソシエイテッド・ブリティッシュ・ピクチャー・コーポレーション(ABPC)は、20世紀半ばの英国映画黄金時代において、ランク・オーガニゼーションと並び「二大巨頭」と称された伝説的な映画会社です。エルストリー・スタジオを拠点とした高度な制作体制、独自の配給網、そして巨大な映画館チェーン(ABCシネマズ)を擁する垂直統合型のビジネスモデルを確立し、英国映画界の屋台骨を支えました。その作品群は多岐にわたり、『Oh... Rosalinda!!(こうもり)』のような色彩豊かなミュージカルから、『Eyewitness』に代表される緻密なサスペンス、そして洒脱なコメディまで、格調高さと大衆性を両立させた娯楽作を数多く創出しました。アルフレッド・ヒッチコックの初期キャリアを支えた前身時代の精神を継承し、技術革新と芸術性の融合に注力した同社の姿勢は、後のEMIへの統合を経てなお、英国映画のアイデンティティを形作った重要なマイルストーンとして映画史に深く刻まれています。