ケン・ラッセル監督のデビュー作である本作は、後の巨匠の才気を予感させる圧倒的な視覚的エネルギーに満ちています。サイレント映画へのオマージュを散りばめた狂騒的な喜劇でありながら、人間の虚栄心や欲望を鋭く射抜く知的な風刺精神が、随所に見事に息づいています。
ジェームズ・ブースとロイ・キニアの絶妙な掛け合いは、英国流のシニカルな笑いを体現し、マリーザ・メルの眩い存在感が画面に異彩を放ちます。単なる娯楽作の枠を超え、混沌としたドタバタ劇の中に美的な野心と人間賛歌を昇華させた演出は、観る者の心に鮮烈な刺激を刻み込むことでしょう。