あらすじ
かつて、『紺碧の艦隊』『旭日の艦隊』『ビッグ・ウォーズ』 などで一世を風靡したSF作家・荒巻義雄...。 その初期の思弁小説の世界を全7巻の全集にて刊行開始! 「21世紀に入り、ますます豊穣をきわめ、国際的注目を浴びる日本SF。 そんな現在、荒巻SFのエッセンスともいうべき初期のメタSFの 名作の数々がここに復刻されれば、新たな読者を獲得するばかりか、 我が国において筒井康隆、荒巻義雄、山野浩一から川又千秋、伊藤計劃、 円城塔までを貫く思弁小説の精神史をも明らかにすることができるだろう」 (巽孝之) 【第2回配本について】 『聖シュテファン寺院の鐘の音は』は、第1回配本の『白き日旅立てば不死』の14年後の世界が描かれています。荒巻ファンには、「白樹シリーズ」として知られているものです。永遠の恋人であるソフィーを求めてウィーンを、そして「異界」を彷徨う主人公・白樹直哉の行く先は...。純文学とSF作品の間を行き来しているかのごとく傑作が完全版で! 解説は、マニエリスムを語らせたら随一の学魔・高山宏(英文学者)と新戸雅章(SF評論家)が書き下ろし! 別冊の付録「月報」には、荒巻義雄の書き下ろしによる「本作の執筆の裏側」が掲載。作品に込められためくるめく荒巻の美学とは? さらに「月報」には、鬼才立原透耶(作家)とSF評論家ドゥニ・タヤンディエーが登場します! 【全7巻構成、配本順、刊行予定年月】 ※主な収録作品 ●第1巻「柔らかい時計」(第7回配本)(2015年5月) ●第2巻「宇宙25時」(第4回配本)(2015年2月) ●第3巻「白き日旅立てば不死」(第1回配本)(既刊) ●第4巻「聖シュテファン寺院の鐘の音は」(第2回配本)(※今回配本) ●第5巻「時の葦舟」(第3回配本)(2015年1月) ●第6巻「神聖代」(第5回配本)(2015年3月) ●第7巻「カストロバルバ/ゴシック」(第6回配本)(2015年4月)
作品考察・見どころ
荒巻義雄が描く本作は、単なるSFの枠を超え、絢爛たるマニエリスム的世界観が横溢する傑作です。永遠の恋人ソフィーを求め、ウィーンから異界の迷宮へと彷徨う白樹直哉の姿は、読者を形而上学的な深淵へと誘います。緻密な文体で綴られるその旅路は、論理と幻想が交錯する思弁小説の極致であり、知性を激しく揺さぶる叙事詩となっています。 時間や空間の歪みを純粋な美学へと昇華させた著者の知性は圧巻です。記号論や精神分析を織り交ぜ、失われた愛という普遍的なテーマを再構築する本作は、日本SFの精神史を象徴する一冊と言えます。鐘の音が響き、現実と虚構の境界が融解する瞬間、私たちは物語そのものが持つ官能的なまでの美しさに圧倒されるはずです。

