袖に漆でつけた三つ葉葵の定紋、月代を立てた長身白面の貴公子―。着流し姿で町中に颯爽と現わるは、駿河大納言徳川忠長の遺子で、三代将軍家光の甥、松平長七郎長頼であった。大層高貴な出生ながら、市井でのん気、気ままに世を送る無位無官の身分。だが、身の回りに起きる事件に、つい首を突っ込んでしまうのが玉にきずだった。自らの黒田家姫君との縁談が、桐の残党による豊臣家復興の企てに関わることを知った夜...。長七郎は、お気に入りの家臣、三宅宅兵衛、田村右平次、お登和、女賊のおれんを引き連れ、探索を開始する。その腕に託された幕府転覆の危機、そして事件は驚きの結末を迎えた。