あらすじ
源平戦乱の時代、悲劇の武将・源義経の生涯を描く。有名な京の五条の橋での弁慶との対決や、屋島や壇ノ浦の合戦など名場面の連続と、主演の尾上菊之助の当時23歳という若さが評判になった。
作品考察・見どころ
尾上菊之助が体現する義経は、歌舞伎の様式美を根底に持ちながら、若武者ゆえの純粋さと脆さを鮮烈に描き出しています。その気品に満ちた佇まいは、非業の死へと突き進む宿命の悲劇性を一段と際立たせ、観る者の心に深い哀惜を刻み込みます。
対する緒形拳の弁慶が放つ圧倒的な生命力は、義経の繊細さと見事な対照をなし、単なる主従を超えた魂の紐帯を感じさせます。政治の冷酷さと個人の情熱がぶつかり合う普遍的な葛藤を、重厚な演出で昇華させた本作は、まさに日本人の心に眠る判官贔屓の精神を揺さぶる傑作といえるでしょう。