仇敵
あらすじ
ISBN: 9784408552842ASIN: 4408552844
弱小銀行の東都南銀行で庶民行員として働く恋窪商太郎は、かつて大手銀行で次長職を務めるエリートだったが、不祥事の責任をとり退職していた。融資課の若き行員・松木から相談を受け、行内の事件を解決に導く平穏な日々。しかし、退職のきっかけとなった“仇敵”が現われたとき、人生と正義の闘いに再び立ち上がる...宿命の対決の行方は!?
池井戸潤文学の真髄は、組織という巨大な装置に抗う個人の「矜持」にあります。主人公・恋窪商太郎は、地位を捨ててなお己の正義を貫こうとする強靭な精神を宿しています。日常の謎を解くミステリの精緻さと、静かに燃える復讐心が交錯する展開は、読者の魂を激しく揺さぶらずにはおきません。 本書は単なる勧善懲悪を超え、過去と対峙し誇りを取り戻す再生の物語です。沈黙を守り続けてきた男が、仇敵を前に再び立ち上がる瞬間のカタルシスは、まさに著者の独壇場。働く者の哀愁と、泥にまみれても失われない尊厳に満ちた熱き人間ドラマを、ぜひ心ゆくまで堪能してください。