あらすじ
ISBN: 9784094060867ASIN: 4094060863
郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」という奇妙な取引を持ちかけてきた。僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計...僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。二〇一三年本屋大賞ノミネートの感動作が、待望の文庫化!

現代の日本映画界において、川村元気ほど多才で、かつ物語の魔法を自在に操る錬金術師は他にいないでしょう。東宝のプロデューサーとして告白や悪人、そして世界を席巻した君の名は。といった歴史的ヒット作を次々と世に送り出してきた彼は、単なるヒットメーカーの枠を超え、小説家、脚本家、そして映画監督として、その表現の翼を広げ続けてきました。一九七九年生まれの彼が歩んできた軌跡は、常に既成概念の破壊と再構築の連続です。自ら筆を執った小説、世界から猫が消えたならで見せた文学的感性は、監督デビュー作である百花において、視覚的な叙情性と記憶の断片を紡ぐ独創的な演出へと昇華されました。これまで四十二作品に携わり、平均評価七・一という驚異的な安定感を誇る実績は、彼が単なる多作な作家ではなく、一作ごとに魂を削り、観客の心に深く刺さるクオリティを徹底して追求している証左に他なりません。特にドラマ、アニメ、ファンタジーの領域で見せる、脆くも美しい人間心理の描写は、言語の壁を超えて世界中の観客を魅了しています。STORY株式会社の代表として、また東宝の企画を牽引するフロントランナーとして、彼はビジネスと芸術の境界線を軽やかに飛び越え、日本映画を次なる高みへと押し上げようとしています。映像と文字、そして夢を繋ぐその瞳が捉える未来は、これからも私たちに見たことのない新しい景色を提示し続けてくれるはずです。
実写化・アニメ化された映画やドラマを観て、原作小説ならではの美しい心理描写や、映像化で新たに加えられた解釈・演出との違いを楽しみましょう。