あらすじ
「あなたは誰?」
徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。
ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。
泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。
母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。
記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。
「あなたはきっと忘れるわ。
だけどそれでいいと私は思う」
「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。
あの時のように」
……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。
小説『世界から猫が消えたなら』『四月になれば彼女は』などで大きな衝撃を与えてきた川村元気、待望の最新文庫。
各界からも反響が続々!
◆息子と母の切ない思いに、胸が熱くなりました。──吉永小百合
◆深い感動のうちに読了した。
ぼく自身の母親の思い出と重なり、他人事ではなかったのだ。──山田洋次
涙が止まらない──現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。
解説は『長いお別れ』の中島京子さんです。
ISBN: 9784167917166ASIN: 4167917165
映画・ドラマ版との違い・考察
記憶という迷宮をこれほど切なく描いた作品があるでしょうか。本作は単なる介護の記録ではなく、忘却によって暴かれる「親子の真実」を巡る極上の物語です。川村元気が紡ぐ繊細な筆致は、母の意識が混濁していく過程を、一輪の花が散るような儚さで読者の心に刻み込みます。 著者自らが監督した映画版との相乗効果も見事です。活字が描く内面の独白という「静」に対し、映像は色彩と光で記憶の断片を鮮烈に補完します。小説で言葉の重みを噛み締め、映像でその残像を追う。この二重の体験こそが、愛という名の呪縛を、温かな救いへと変えてくれるのです。










































