The Japanese Film
あらすじ
ISBN: 9780691053516ASIN: 0691053510
Tracing the development of the Japanese cinema from 1896 (when the first Kinetoscope was imported) through the golden ages of film in Japan up to today, this work reveals the once flourishing film industry and the continuing unique art of the Japanese film. Now back in print with updated sections, major revaluations, a comprehensive international bibliography, and an exceptional collection of 168 stills ranging over eight decades, this book remains the unchallenged reference for all who seek a broad understanding of the aesthetic, historical, and economic elements of motion pictures from Japan.

日本映画という深淵な森を照らし、東洋の美学を世界の共通言語へと昇華させた稀代の語り部、それがドナルド・リッチーです。戦後、占領軍の一員として降り立った東京で、彼は灰燼に帰した街の底から湧き上がる銀幕の熱気に魅了されました。黒澤明や小津安二郎といった巨匠たちの傍らで、彼らの哲学を誰よりも深く理解し、西洋へと橋を架けた功績はあまりに巨大です。しかし、彼の真骨頂は単なる批評家の枠に留まりません。自らカメラを手に取り、アバンギャルドで実験的な映像世界を切り開いた監督としての足跡には、沈黙と光の戯れを慈しむ詩的な感性が宿っています。そのキャリアを紐解けば、作品の多寡を超越した、文化に対する深い敬意と飽くなき探究心が見えてきます。リッチーが紡いだ映像群は、日本の伝統的な「間」の概念を身体的に解釈し、言葉にできない孤独や情緒をスクリーンに定着させました。単なる記録者ではなく、異文化の神髄を自らの肉体を通して表現し続けた彼の存在は、映画を単なる娯楽から高潔な対話へと引き上げたのです。国境という壁を優雅に飛び越え、視覚の魔術を通じて魂の交流を試み続けたその軌跡は、今なお映画表現の原点を見つめ直すための、輝かしい道標であり続けています。