立松和平の旅する文学
あらすじ
ISBN: 9784896749199ASIN: 4896749197
金子光晴の旅の軌跡を辿り、宮沢賢治、開高健、三島由紀夫の描いたあの場所へ。文学を通じて各地の自然や文化にふれ、人々と心を通わす。そして避けることのできない死と向きあう。活動する文学人である著者が、人間の真実を探る旅へと誘います。ここではないどこかへ行きたいと願うすべての人に。
立松和平という行動する作家の真骨頂が、ここにあります。本書は単なる紀行文ではありません。金子光晴や宮沢賢治といった文豪たちがかつて呼吸した風景に身を投じ、その魂と命がけの対話を試みる、極めて濃密な思索の記録です。自然の荒々しさや人々の営みに触れる中で、著者の鋭い感性は、言葉の裏側に潜む生の震えを鮮烈に描き出しています。 特筆すべきは、旅の終着点として常に死という普遍的なテーマが据えられている点です。ここではないどこかを目指す渇望は、自分自身の真実と向き合うための聖なる儀式に他なりません。名だたる作家たちの眼差しをなぞり、風景を血肉化していく立松の言葉は、孤独を抱えて彷徨う私たちの魂を優しく、かつ激しく鼓舞してくれるでしょう。