あらすじ
ISBN: 9784758447560ASIN: 475844756X
祖母の美寿々から孫の綺羅へと代替わりした「ちぐさ百貨店」は、雑貨を売る傍ら、尻尾に秘密が隠された美味しいたい焼きも販売している。
餡子以外の新作たい焼きを作ろうと奮闘するアルバイトの葵だったが、商社を辞めてたい焼きを焼いていることは家族に話せないままでいた……。
猫目石のペンダント、アンティークのマドレーヌ型、ビアグラスに江戸切子のロックグラス。
雑貨が人と人を繋ぐ、心温まる再生の物語。
待望の第二弾!
長月天音氏が描く本作の真髄は、銀座の片隅で息づく「物の記憶」と「人の情熱」の交差にあります。アンティークのマドレーヌ型や江戸切子といった意匠を通して、失われゆく時間を再生させる筆致は実に見事です。尻尾に秘密を抱えたたい焼きという象徴が、日々の営みに小さな奇跡を灯す装置として機能しており、読み手の心を深く揺さぶります。 特に、商社を辞めた葛藤を抱える葵の成長譚は、現代を生きる我々が共鳴せずにはいられない魂の再生物語です。家族に言えない秘密を抱えながらも、真摯にたい焼きを焼く姿は、自らの居場所を切り拓く尊さを教えてくれます。人と人を繋ぐ雑貨の温もりが、迷える人々の背をそっと押し、読後には銀座を歩くような心地よい余韻が広がることでしょう。