あらすじ
ISBN: 9784758445566ASIN: 4758445567
訳あり姉妹が開店させた神楽坂の路地の奥の奥にある木造家屋のスパイス料理専門店「スパイス・ボックス」。
『路地の名店』というエッセイを綴る人気作家に支えられ、身体だけでなく心の不調も治し、整え、癒やしていくお店として、ファンを増やし続けている。
今回も、他人の目が気になってしまう、妻と死別してからずっと心を閉ざしてしまっている、会社の人間関係に悩んでいる、など様々な不調を抱えたお客様がご来店。
美味しい料理を食べて前に進む勇気が湧く、そんなお店はいかが? 心にも栄養が染み渡る大好評料理小説。
長月天音が紡ぐ本作の真髄は、妖かしと人間が交錯する幻想的な世界観の中に、極めて生々しい情念と宿命の重厚さを同居させている点にあります。単なる冒険譚に留まらず、登場人物たちが背負う過酷な出自や、復讐と忠義の狭間で揺れる人間心理が、美麗かつ力強い文体で克明に描き出されています。 特に、個々の因縁が大きな濁流へと合流していく壮絶なカタルシスは、本作の白眉と言えるでしょう。敵味方の境界が揺らぎ、強大な意志がぶつかり合う様は、まさに時代ファンタジーの真骨頂です。言葉の端々から立ち上がる情景の鮮烈さと、運命に抗い抜く人々の圧倒的な熱量に、読者はいつしか心地よい陶酔へと誘われることでしょう。