あらすじ
演技派として脚光を浴びた一方、スタッフや他の女優とのトラブルが絶えず、日本のテレビ界を干された犬山小春が、敏腕プロデューサー石上五郎とともに「やすらぎの郷」を訪ねてきた。しかし、かつて小春から散々迷惑をかけられていた住民たちはだれも歓迎しない。小春は歌劇の同級生である及川しのぶにしきりと逢いたがったが、しのぶも小春を避けていた。その後しのぶは石上が持ち込んだ自身の大ヒット番組“しのぶの庭”の復活話に狂喜し、小春に逢うことを決意したのだが...静かに余生を過ごす自分に満足しつつも、まだまだ光を浴びたい思いが交差する―シニア世代の心に刺さる倉本聰連続ドラマ。
ISBN: 9784575312560ASIN: 4575312568
作品考察・見どころ
倉本聰が綴る本作は、平穏という名の仮面を剥ぎ取る「業」の物語です。劇薬・犬山小春の登場により入居者たちの「枯れたふり」は崩れ、及川しのぶが再起を懸けて揺れ動く様は、全表現者の魂の叫びとして響きます。老いを受け入れつつも光を渇望する切実なエゴが、残酷なまでに美しく描かれています。 映像版では名優たちの存在感が物語を牽引しましたが、活字で味わう本書には、沈黙に潜む心理描写や行間に滲む独特の毒があります。映像が「華やかな墓標」なら、テキストは「剥き出しの心音」です。両者を重ね合わせることで、老境という季節の真実がより鮮烈に胸に迫るはずです。












































