遠くで笑い聲が聴こえる
あらすじ
ISBN: 9784408592473ASIN: 4408592471
―おら、負けねえ。絶対いっぱしの男になってやる。ムクムクとわき起こる闘志のせいか、慣れない長旅のせいか、有二の額に汗が吹き出す。それを腕でグイッと拭うと、有二は眦を決して人波に飛び込んでいった。栃木の糞ガキ鈴木有二が、世界チャンピオン、ガッツ石松への一歩を踏み出す、まさしくその瞬間だった。貧しくひもじかった少年時代、無我夢中で突っ走った青春時代―いつも熱く一途に生きる男・ガッツ石松の半生を、いきいきと描き出した初の自伝小説。
本書はボクシング界の伝説が自らの魂を剥き出しにした自伝的小説です。貧困という絶望を糧に「いっぱしの男になる」と誓う鈴木有二の姿には、現代が失った泥臭くも神聖な生命力が宿っています。ページから溢れ出す圧倒的な熱量は、読む者の胸を容赦なく打ち抜くことでしょう。 著者の綴る言葉はリング上の拳のように愚直で、空腹や孤独といった生理的な痛みさえも鮮烈に描写します。一人の少年が不屈の象徴へと昇華していく過程は、単なる成功譚を超えた至高の人間讃歌といえるでしょう。泥の中から立ち上がる男の情熱に、震えるほどの感銘を受けるはずです。
