自称マジシャンと物理学教授という相容れない二人の化学反応が本作の白眉です。仲間由紀恵の影のある美しさと阿部寛の圧倒的な滑稽さが、シュールな笑いと恐怖を同時に成立させています。孤独な人々の悲哀を包む「偽りの超能力」というモチーフは、現代社会の欺瞞を鋭く突き、観る者の心に深い余韻を残します。
原作の緻密なロジックを継承しつつ、実写ならではの独特な間や音響演出によって、物語を多層的なエンタメへ昇華させました。活字では捉えきれない異様な空気感や登場人物の欠点が見事に視覚化されており、映像表現でしか到達し得ない唯一無二の迷宮世界を構築している点が見事というほかありません。