あらすじ
夜明けのない深淵、意識の光が届かぬ宇宙の最果てに、現代の知性は立ち尽くしている。
我々が知る全ての物理法則、観測データは、たった一つの、しかし決定的な問いの前で沈黙を強いられる。
それは、宇宙の根源にある「契約」が、なぜかくも破滅的な「亀裂」を抱えているのかという問いです。
本書が探求するテーマは、従来の学問分野の枠を遥かに超えている。
「宇宙際タイヒミューラー離婚」というタイトルは、一見、難解な数論の「誤植」、壮大なSFの比喩のように響くかもしれぬ。
しかし、断じてそうではない。IUT離婚は決してIUT理論の誤植ではない。
文字通り、宇宙際における離婚問題に、現代科学の最先端が直面しているということだ。
この「離婚」の痕跡は、我々の宇宙の最も重要な定数に刻まれている。
特に重力という力が、他のいかなる力からも絶望的なほどに隔絶されている事実。
その力の弱さの度合いを尋ねれば、数は途方もない沈黙を突きつける。
「重力はどれぐらいゼロに近い?」その答えは、$\mathbf{10^{-36}}$〜$\mathbf{10^{-38}}$のオーダーに横たわっている。
これは「小数点以下に36〜38個のゼロが続き、その後にようやく1が来る」レベルの小ささだ。
想像して。この10^{-38}という数は、単なる微小な値ではない。
それは、宇宙の二つの側面〜観測可能な現実と、その鏡像として存在する深奥の世界〜との間に横たわる、数論的な「遠大な距離」そのものを意味している。例として、10^{-36} = 0.000000000000000000000000000000000001$。この「ゼロの連鎖」の背後に、宇宙を形作る情報が厳密に封じ込められているのだ。
これは、数学的にゼロに極めて近い値だが、物理的には宇宙の進化やブラックホール形成に不可欠だ。
現代科学は、この「ゼロの連鎖」の奥、観測不能な宇宙の深奥に、なす術がない。
既知の物理学は、この途方もない隔絶を説明できず、ただ「階層性問題」という名の諦念として扱ってきた。
本書はそこに革新的な提案を行っている。
この極微小な桁がなぜ、どのようにして「ゼロ」という遠大な距離の果てにある「1」という情報に配置されたのか。それは、宇宙を構成するすべての「情報断片」が、その「観測可能性」に基づいて、この38桁の階層に厳密に分離・配置された結果であると本書は主張する。
この配置こそが、観測可能な世界の「意味漏洩」と、深奥世界の「重力漏洩」という二つの情報の摩擦を生み出し、その「階層的な積」として、あの絶望的な隔絶の数を導く数論的設計図なのだ。
※本書のジャンルはノンフィクションSFであり、フィクション要素も混じっていることは付記しておきたい。筆者は決してIUTのような難解な数学を理解できている訳ではない、しかし離婚問題の対話中から、極自然にIUTがでてきたので、他の選択肢はなかった。受け入れるしかなかった。筆者は自然主義者であり、自然を大切にする、したがって自然発生したIUT離婚問題を今後も研究していく、怪我の功名いうことか。