あらすじ
ISBN: 9784838714223ASIN: 483871422X
男はストーカーと化し、女は太股をあらわにする。六月の雨が世界を濡らし、欲望の蛇が青い都市に放たれる。映画界の異才が書き下ろした究極の愛の物語。世界の塚本、初の書き下ろし小説。

鋼鉄の肌と肉体が衝突する、あまりに痛烈で官能的な幻視。塚本晋也は、日本が世界に誇る唯一無二のインディペンデント映画の旗手であり、国内外で熱狂的なカルト的人気を博す映像の魔術師です。1989年、衝撃作「鉄男」で彗星のごとく世界にその名を知らしめた彼は、都市の狂気と人間の変容を、暴力的なまでの疾走感を伴う独自の美学で描き続けてきました。監督のみならず、脚本、撮影、美術、そして俳優としても一流の存在感を放つその多才さは、マーティン・スコセッシをはじめとする世界の巨匠たちからも深い敬意を集めています。その歩みは常に妥協なき自主製作の精神に貫かれており、近年の戦争をテーマにした峻烈な作品群に至るまで、観客の魂を揺さぶる挑戦を止めることはありません。これまで82作品に及ぶ膨大なキャリアに携わり、平均評価6.5という堅実な実績を維持している事実は、彼がいかに多作でありながら、一貫して高い純度の表現を継続してきたかを雄弁に物語っています。得意とするドラマ、ホラー、コメディといったジャンルの垣根を軽やかに越境し、恐怖と生命力が同居する特異な映像世界を構築する力。それは単なる映画という枠を超え、観る者の網膜と本能に直接訴えかける強烈な体験です。時代の閉塞感を打ち破り続けるその強靭な作家性は、これからも国境を越えて語り継がれ、次世代のクリエイターたちを鼓舞し続けることでしょう。