あらすじ
江戸時代-宝永四年。かつてこの世が闇に支配された時代。霊峰・富士の大噴火により、封印されていた魔界との結界が破れ、次々と地上に悪しき妖怪が溢れ出す。この事態を打破すべく、幕府の命を受けたひとりの少女がいた-17歳の少女、妖怪討伐士さくや。彼女は、この世で唯一、妖怪を斬ることができる妖刀"村正"を受け継ぐが、この村正が、妖怪たちの汚れた血を吸うたびに、さくやの生命の残量は減っていく。やがて、さくやは父が手にかけた妖怪の子供を、弟として育てることを決意する。血を超えた絆で結ばれた二人の行く手には、世界の存続を賭けた壮絶な戦いが待っていた!
作品考察・見どころ
本作の白眉は、原口智生監督が伝統的な特撮技術を駆使して構築した、禍々しくも美しい異界のビジュアルにあります。デジタル黎明期にあえて造形物や特殊メイクの質感にこだわった妖怪たちは、画面越しに湿り気を感じさせるほど生々しく、和製ファンタジーとしての格調高い様式美を現出させています。
主演の安藤希が見せる凛とした瑞々しさと、嶋田久作や松坂慶子ら怪優陣が放つ圧倒的な威圧感の対比も見逃せません。宿命に抗う少女の成長と、異形の者たちへ注がれる哀切な眼差し。そこには単なる勧善懲悪を超えた、作り手の情熱と深い哲学が息づいています。特撮映画の枠を越え、魂を揺さぶる一級のエンターテインメントです。