あらすじ
歴史とは、勝者が紡ぐもの。
では、何故『平家物語』は「敗者」の名が冠されているのか?
現代では作者不明の『平家物語』は誰が書き、何を託されたのか──。
平清盛最愛の子・知盛は交戦を続ける源氏を前に、木曽義仲を水島の戦いで破った。
だが、敵には源頼朝、そしてまだ、戦の天才・義経がいる。
知盛はこの苦境に、どう抗っていくのか。
平家全盛から滅亡まで、その最前線で戦い続けた知将が望んだ未来とは。
時代を創った綺羅星の如き者たち、善きも悪きもそのままにそのすべて。
(全二巻)(解説・佐藤可士和)
ISBN: 9784758447157ASIN: 4758447152
作品考察・見どころ
今村翔吾は本作で、敗者の歴史に宿る祈りを極限まで美しく描き出しました。知将・平知盛の視点から語られる滅亡への軌跡は、単に滅びの美学をなぞるものではありません。消えゆく者たちが後世に何を託したのかという根源的な問いに肉薄し、戦の天才・義経という巨大な壁に抗い続けた知盛の生き様を通して、敗北の向こう側にある「物語」の力を鮮やかに浮き彫りにします。 文学的見所は、勝者の論理で塗りつぶされた歴史の裏側に、血の通ったドラマを蘇らせた筆致にあります。滅びゆく茜色の空の下、知盛が見つめたのは絶望ではなく、時代を創った者たちへの深い愛惜でした。今村氏が紡ぐ熱き言葉は、魂を激しく揺さぶり、歴史という大河が持つ真の輝きを私たちに突きつけます。今こそ、伝説の裏側に秘められた真実の鼓動を体感してください。